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【元ネタ】新約聖書、スラヴ神話 【CLASS】アルターエゴ 【マスター】 【真名】コスマス ダミアヌス 【性別】男性 【身長・体重】175cm・70kg 【属性】秩序・善 【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力A 幸運A- 宝具EX 【クラス別スキル】 神性:C(A) 神霊適性を持つかどうか。 アルターエゴらの場合は太陽神スヴァローグに由来する神性を所持しているが、 通常時は二つに分割されている為ランクは低下している。 ハイ・サーヴァント:C(A) 英霊複合体であることを示すスキル。 アルターエゴらと同一視されるスラヴ神話の太陽神スヴァローグが力を貸している。 通常時はスヴァローグの力はアルターエゴ二人にそれぞれ半分に分けられている状態であり、 二人の霊基が一つになる事で全き形となる。 対魔力:A 聖人由来の高い対魔力。 事実上、現代の魔術師ではアルターエゴに傷をつけられない。 但し、教会の秘蹟には対応しない。 陣地作成:A 本来は魔術師のクラススキル。自らに有利な陣地を作り上げる。 アルターエゴらの場合、害あるものを遠ざける“手術室”を形成することが可能。 道具作成:D 医療のエキスパートであるアルターエゴは高精度の医療器具などが作成可能。 境界にて:D(B) あの世とこの世を切り離す境界を作り出すスヴァローグの権能が由来のスキル。 冠位の暗殺者たる山の翁が持つ同名のスキルとは効果が異なる部分があり、 即死耐性、恐怖耐性を持つ点では同じだが、自陣営にその耐性を分け与える事ができる。 ランクはサーヴァントとして神の権能をそのまま振るう事は出来ない為Bランクとなっており、 また通常時はスヴァローグの力は分割されているためDランクとなっている。 【固有スキル】 医療の守護者:A 医療に関する守護聖人であるアルターエゴらの持つスキル。 自身の周囲で行われる治療行為の判定を成功させやすくし、また回復速度を向上させる。 アルターエゴの消滅後もその加護は頭蓋の形で残留し、同様の効果を周囲に与える。 コンビネーション(医術):A 特定の相手と共闘する際に、どれだけ戦闘力が向上するかを表すスキル。 アルターエゴらの場合は協力して行う治療効率の向上も表す。 時に命を救う為に、時に命を脅かす脅威を排除するために、この兄弟は完璧な連携を取る。 奇蹟:A- 時に不可能を可能とする奇蹟。 星の開拓者に似た部分があるものの、本質的に異なるものである。 適用される物事についても異なっている。 生前では奇蹟によって幾度の処刑を免れたが結果的には打ち首となった事からランクが低下している。 【宝具】 『輝き清い火神の竜(スヴァローグ・スヴァロギッチ)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:2人 アルターエゴたち二人の霊基を一時的に解体し、一つの霊基として繋ぎ合わせる融合宝具。 融合された霊基は太陽神スヴァローグの性質が引き出され、その姿は火炎を纏う竜に近づく。 この状態の『彼』は太陽の如き灼熱のドラゴンブレス、自らの陣地を自陣営に恵みを与えるよう開拓する等の力を発揮する。 その身を竜の姿に近づければ近づける程に振るう力は強力になっていくが、それに比例し霊核への負担は大きくなっていく。 無理に神霊の振るう権能の領域に近づこうとすれば、霊核に不可逆的な損傷が発生しアルターエゴたちは消滅するだろう。 【解説】 3世紀の伝説的聖人であり、双子の兄弟である。医学、医師、薬剤師の守護聖人。 東欧ではクルツマンとダミアンとも。 足を切断された患者に別の人間の足を繋げた逸話を持つ。 また東ヨーロッパでは吸血鬼や屍鬼に絶大な力を持つと考えられていたという。 伝説では、二人はアラビア半島出身でシリヤにて学び、キリキア(小アジア東南部)で内科医として活躍した。 二人は治療費をとらずに奉仕活動をし、聖なる文無しと呼ばれ、それにより多くがキリスト教に改宗した。 しかしローマ帝国皇帝ディオクレティアヌスのキリスト教徒への大迫害で、打ち首にされた。 伝説によると、ローマ帝国植民地総督リュシアスが二人を縛って海に投げ捨てるように命じると天使が二人を岸へ運んだ。 次に柱に縛り付けて火あぶりにすると炎は刑執行人へ向かった。 リュシアスは二人に石を投げつけるよう命じると、石はすべて二人に届かなかったため、最後に打ち首になったという。 またこの二人はスラヴ神話の太陽神にして火神、鍛冶神のスヴァローグと同一視される。 スヴァローグは自身の口を鋤代わりに使って耕し人間に恵みを与えたという。 またスヴァローグは深い溝を作り、あの世とこの世を切り離す事も出来る。 同一視された彼らの姿は黄金の角を持った牛、雄豚、馬等で表されている。 また民間伝承では火の竜とも扱われる場合がある。
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キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 【クラス】 【真名】 【容姿】 【願い事】 【その他】 【英雄点】点(ステ点・スキル点):令呪0画消費 【HP】5/5 【筋力】E :1 【耐久】E :1 【敏捷】E :1 【魔力】E :1 【幸運】E :1 【スキル1】 00点: 【スキル2】 00点: 【スキル3】 00点: 【宝具】『』() 1/1 【ランク・種別】ランク: 種別: レンジ: 最大捕捉: 【効果】 +2019/01/01版 泥 【CLASS】 【真名】 【異名・別名・表記揺れ】 【性別】 【身長・体重】cm・kg 【髪色】 【瞳色】 【スリーサイズ】// 【外見・容姿】 【属性】 【天地人属性】 【その他属性】 【ステータス】筋力: 耐久: 敏捷: 魔力: 幸運: 宝具: 【クラススキル】 スキル名 スキル効果 【固有スキル】 スキル名 スキル効果 【宝具】 『宝具名(ルビ)』 ランク: 種別: レンジ: 最大捕捉:人 宝具説明 【Weapon】 『武器名』 武器説明 【解説】 サーヴァントについての解説。 +絆Lv 【キャラクター詳細】 キャラせつめい 【パラメーター】 筋力 ■■■■■:C 耐久 ■■■■■:EX 敏捷 ■■■■■:E- 魔力 ■■■■■:A+ 幸運 ■■■■■:A 宝具 ■■■■■:EX 【絆Lv1】 身長/体重:cm・kg 出典: 地域: 属性: 性別: 一言説明 【絆Lv2】 来歴せつめい 【絆Lv3】 サーヴァントのスタンスせつめい 【絆Lv4】 ○スキル名:ランク スキルせつめい 【絆Lv5】 「宝具名」 ランク: 種別: レンジ: 最大補足: ほうぐるび ほうぐせつめい 【「クエスト名」をクリアすると開放】 こまかいせつめい +絆礼装 礼装名 レアリティ Cost HP ATK ☆4(SR) 9 100 100 効果 ベアトリーチェ(ライダー)装備時のみ、 +20の質問 質問1 真名と現界年齢と性別を教えてください 「」 質問2 身長と体重を教えてください 「」 質問3 出身地を教えてください 「」 質問4 好きな色、自分を象徴するような色はありますか 「」 質問5 特技はなんですか 「」 質問6 好きなものはなんですか 「」 質問7 嫌いなものはなんですか 「」 質問8 天敵とかいますか 「」 質問9 属性について教えてください 「」 質問10 現代での生活について自由に話してください 「」 質問11 貴方の宝具、乗騎、戦術について自由に話してください 「」 質問12 貴方の外見について自由に話してください 「」 質問13 ざっくりとあなたの性格を教えてください 「」 質問14 自分の日本での知名度をどう思いますか 「」 質問15 貴方の適合クラスを教えてください 「」 質問16 聖杯にかける望み、あるいは聖杯戦争参加の経緯を教えてください 「」 質問17 親しい人間について自由に話してください、空欄でも構いません 「」 質問18 自分のマスターをどう思いますか、空欄でも構いません 「」 質問19 理想のマスター像を教えてください。それに対して今のマスターは何点ですか 「」 質問20 なにかこちらに質問はありますか 「」 今回はありがとうございました。あなたの望みが叶うことを願います +セリフ集 ●サーヴァント名 一人称: 二人称: マスター: キーワード : : 召喚 「」 レベルアップ 「」 霊基再臨 「」 「」 「」 「」 戦闘セリフ 戦闘開始 「」 「」 スキル 「」 「」 カード 「」 「」 「」 宝具カード 「」 アタック 「」 「」 「」 EXアタック 「」 宝具 「」 ダメージ 「」 「」 戦闘不能 「」 「」 勝利 「」 「」 マイルーム会話 「」 「」 「」 「」 好きなこと 「」 嫌いなこと 「」 聖杯について 「」 絆Lv.1 「」 Lv.2 「」 Lv.3 「」 Lv.4 「」 Lv.5 「」 イベント 「」 誕生日 「」
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医術:A→A+ (シャルル=アンリ・サンソン(Grand order)) 迷信が蔓延っていた当時の医療技術より数段優れた近代的医術。 なお、このスキルは現代の基準で比較するものではなく、 サーヴァントの生きた時代の基準で判定するものとする。 【A++ランク】 【A+ランク】 【Aランク】 【Bランク】 【Cランク】 【Dランク】 【Eランク】
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【元ネタ】史実 【CLASS】セイバー 【マスター】 【真名】飯篠長威斎家直 【性別】男性 【身長・体重】176cm・64kg 【属性】中立・善 【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷A+ 魔力C 幸運B 宝具A 【クラス別スキル】 対魔力:A 神剣・布都御魂の神威を"再現"するに至ったセイバーはA以下の妖術魔術を悉く斬り捨てる。 事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。 騎乗:B 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。 【固有スキル】 神道流:A++ 天真正伝香取神道流の奥義を修めている。 剣術、居合術、柔術、棒術、槍術、薙刀術、手裏剣術、忍術、陣地作成、風水など、様々なスキルが複合された総合武術。 老練:A+ 精神が熟達した状態で召喚されたサーヴァントに与えられるスキル。 いかなる状態でも平静を保つと同時に、契約を通じてマスターの精神状態を安定させることができる。 指南の心得:A 数々の英雄を育て上げた者が得るスキル。指導者としての手腕。 対象の才能を見極めたうえで隠れたスキルを対象に習得させる。 ランクAならば生前にセイバーが身に着けた数々の武術を伝授する事が可能である。 啓示:B- "経津主からの声"を聞き、最適な行動をとる。『直感』は戦闘における第六感だが、啓示は目標の達成に関する事象全てに適応する。 しかし、一つの悟りの域にあるセイバーは天の声に委ねるまでもなく最適解を選べるため、当スキルは余程の窮地に陥いらない限りは使用されない。 熊笹の対座:A 神道流の到達点の一つである体捌き。 伝承に曰く、セイバーは立ち会いを望む武芸者の前で熊笹の葉を折ることなくその上に鎮座し、力量差を悟らせたという。 自身に掛かる重力をも自在に運動エネルギーに転換する、謂わば身体のみで行うベクトル操作。 これにより、セイバーは"型"の創始者でありながら型はおろか、物理法則にすら囚われない挙動を可能とする。 【宝具】 『布都御魂・雲切之剣(ふつのみたま・くもきりのけん)』 ランク:A 種別:対人奥義 レンジ:1 最大捕捉:1人 剣神・経津主の啓示を受けたセイバーがその生涯を懸けて追い求め、最期に至った活人剣の極致。 布都御魂とは経津主が宿る神剣であり、邪気や瘴気などといった形なきものをも斬り払うとされる。 セイバーの居合術はその布都御魂の神威を"再現"するに至り、相手の業(カルマ)を断つことで殺意、敵意、戦意を喪失させる。 その特性上、精神汚染系のスキルを有するサーヴァントを正気に戻すことも可能だが、 外部から狂気などを植え付けられている者に対してはまず元を断つ必要がある。 殺さずして戦いを収めるという正に平和の剣法であるが、 殺し合いが前提の儀式である聖杯戦争に於いては、ほとんどのマスターにとって無用の長物と言えるだろう。 【解説】 日本武道の源流の一つである天真正伝香取神道流の創始者で『日本兵法中興の祖』でもある。 千葉氏の家臣として仕え、幼少より刀槍に優れ戦で手柄を立て一度も敗れたこともなかった。 しかし当主千葉胤宣が裏切りに会い自刃。 千葉氏宗家の滅亡を目の当たりにした家直は、武芸をもって武士として生きることに虚しさを覚え、 そして「武術とは互いに血を流し合う戦さのためのものではない」という信念のもと、剣の極意、 武術の奥義を究めるための修行に打ちこむべく、武神経津主神を祀る香取神宮に篭る。 千日の厳しい修行の末、『兵法とは平和の法なり』という悟りに至ると、 経津主神より「汝、後に天下剣客の師とならん」との啓示と共に、一巻の神書を授かる。 この事から経津主神に由来する名を冠した天真正伝香取神道流を創始し、 それまで決まった「型」の無かった日本武術の世界において、百般に亘る武道の原型を体系化した。 家直は「真実の武道は人の心にあり、人の道である。心の中が善であれば、武芸は人を助け世の中を平和にする。したがって自分自身を完成された人間に近づける努力をしなければならない」と 門人たちに諭し、心身鍛練の術として武士から庶民まで広く教えたとされる。
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【元ネタ】史実 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】チェーザレ・ボルジア 【性別】男性 【身長・体重】178cm・69kg 【属性】秩序・悪 【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具C++ 【クラス別スキル】 気配遮断:C+ サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 ただし、毒を忍ばせる場合はこの限りではない。 【固有スキル】 無辜の怪物:B 悪徳者の代名詞たるボルジアの寵児。 本人の意思や姿とは関係なく、風評によって真相をねじ曲げられたものの深度を指す。 アサシンの場合は一族と自身に纏わる憎悪・恐怖の影響を受け、より奸智に優れる悪魔じみた人物と化した。 マキャヴェリズム:A++ 「君主論」に由来する国家、延いては自身の利益のためならば非道な手段をも躊躇わないという思想。 保有者の合理的・冷徹な判断力と行動にランクに応じたプラス補正がかかり、高ランク保持者には「鋼鉄の決意」が複合される。 提唱者マキャヴェッリにその理想像として謳われたアサシンは極めて高いランクで当スキルを保有する。 情報抹消:C 対戦が終了した瞬間に、目撃者と対戦相手の記憶からアサシンの能力・真名・外見特徴などの情報が改竄される。 【宝具】 『優雅なる冷酷の蟲毒(カンタレラ・マキャヴェリーズモ)』 ランク:C++ 種別:対衆宝具 レンジ:1~99 最大補足:20人 ボルジア家が用いた秘伝の毒薬、あるいはアサシンが巡らす権謀術数の手駒(トークン)。 彼の手で作り出されたソレは語源の一説ともされる土斑猫の如くその性質、毒性、形態をも変化させる。 生命体やサーヴァントに接触すればその命を脅かし、建物に触れれば腐食によりその堅牢さを奪い去る。 そして集団に混じれば組織を内より崩す「獅子身中の虫」となって敵対勢力を破滅に導く。 正体不明の毒薬という肩書は仮の姿に過ぎず、非道の象徴にして非道を為す操り人形としての在り方がこの宝具の本質である。 『緋衣を裂き征め、獅子心の狐狼(アウト・チェーザレ・アウト・ニヒル)』 ランク:B- 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1人 青年時代のアサシンが理想とする光景を刀身に刻み込んだとも伝えられる宝剣「剣の女王」が、彼の歩んだ覇道との融合により昇華された宝具。 真名解放によってアサシンの行動に伴うプロセスを一部抹消し、最も確率の高い結果を手にする。 彼の才覚により発動すればほぼ確実に最良の結果を得られるが、消し飛ばされた過程という負債はかつて隆盛の絶頂にあったアサシンを失墜させた病魔の形を取り、降りかかる。 この病は真名解放の回数に応じて累積する他、「病弱」スキルに近い性質を持ち、通常の手段での回復は困難を極める。 心身を蝕む病毒にアサシンが屈服した時、彼の覇道が途絶えることは必定である。 【解説】 イタリア・ルネッサンス期の人物。その冷酷さによってロマーニャに秩序を齎した理想的な君主とされ、妹ルクレツィアと共に数々の陰謀を巡らせたと噂される。 後に教皇アレクサンデル6世となる父ロドリーゴの後ろ盾により幼い頃から教会の要職に就き、やがて枢機卿、騎士、公爵の地位にまで登り詰めた。 軍事の才にも優れ、リミニやペーザロに進軍した際にチェーザレを恐れた領主が彼の到着前に次々と遁走しいずれも無血入城を果たしたという。 しかしある時ローマに進軍した際に父と共に原因不明の重病(マラリア説が有力だがボルジア家秘伝の毒薬カンタレラを誤って服用したとも)に罹り、 判断力の落ちたチェーザレは父の次の次に教皇となったユリウス2世と密約を交わしたが反故にされ虜囚の身となる。 収監されていたモタ城から脱出したチェーザレは義兄フアン3世が統治するナバーラ王国に逃れたが、ナバーラ王国とスペインとの戦争に軍の一部隊を率い参戦し戦死。享年31歳。 余談だが万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチを建築技術監督兼軍事顧問として行動を共にしていた時期がありチェーザレはレオナルドを最も親しい友人と呼び、 レオナルドの方も新兵器やチェーザレの肖像画らしきデッサンなどを残したが彼(彼女)がチェーザレ個人をどう思っていたかは不明である。
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【元ネタ】史実 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】マルクス・サルウィウス・オト 【性別】女性 【身長・体重】170cm・51kg 【属性】中立・中庸 【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷B 魔力D 幸運D 宝具B 【クラス別スキル】 気配遮断:D サーヴァントとしての気配を絶つ。 隠密行動に適している。 【保有スキル】 佯狂:B+ やんちゃしてた時代のイメージによる霊格偽装。 相手が判定に成功するまで、オトをサーヴァントとして認識させない。 暗殺者ではないので、アサシン能力「気配遮断」を使えないが、 このスキルを応用しての気配遮断を行うことができる。 皇帝特権:B 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。 ランクA以上ならば、肉体面での負荷(神性など)すら獲得できる。 ……本人によれば、“わがまま”は卒業したのでランクが低いという。 伝承発掘:D+ ダムナティオ・メモリアエを課された盟友ネロの像の再設置を認めた逸話から。 相手の知名度補正を上昇させ、能力を強化する。 このサーヴァントの場合、“情報抹消”への耐性ともなる。 【宝具】 『屠り祀る毀誉の短剣(ヒロイック・イモレイション)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:一人 皇帝オトを“殉国”させた短剣の一撃。 個人的な醜聞を持つ英霊に対し、 その悪評のレベルに応じて攻撃力とクリティカル率を向上させる放蕩者殺し。 この宝具は生前の“女々しい”イメージを払拭し、死後のオトを英雄化した逸話を持つ。 それこそが「栄誉の死による英雄化」という概念、 醜聞を持つ英霊に対する特攻という希少属性の所以である。 【Weapon】 『双短剣』 自刃に用意したもの。 実際に使われた一本と未使用の一本のセット。 宝具『屠り祀る毀誉の短剣』はどちらからでも放てるようだ。 『醜聞』 ここで言う醜聞とは、英雄らしくない逸話のこと。 狂気と呼ぶには妄執も真剣さも足りず、人間らしさと呼ぶには卑近で下劣すぎる、 輝かしくも悍ましくもない、老醜、痴態、若さ故の過ち等を指す。 【解説】 ガルバの謀反にいち早く賛同し、以後彼の後釜を狙うが、ピソが後継者に指名されるにあたって叛逆、 皇帝親子を粛清し、自らローマ皇帝の座に就く。 だがウィテリウスの脅威に晒され、そのためか情緒不安定となり、初戦での敗北後、 逆転の目を残しながら自決した。 名門サルウィウス氏族に生まれ、若い頃はネロの悪友にして放蕩息子として知られた。 ネロの愛人(後にネロの妻)ポッパエア・サビナに入れあげた為にルシタニアに左遷されるが、 周囲の予想に反してルシタニアでは公明正大な善政を敷いた。 民衆からネロと呼ばれ、ネロの如き大盤振る舞いを期待され、ネロと自称したが、3ヶ月で死んだ泡沫皇帝。 最初の公務は、ネロのドムス・アウレアを完成させるための予算の承認だったとされる。 ガルバを反面教師としてか兵士には手厚く接し、その死に際して殉死者が複数出るほど人気があった。 その潔すぎる最期は、帝国を割り多くの将兵の血を流すことを避けたのだろうと好意的に解釈され、 それまでのイメージを覆して賞賛された。個人的にはノイローゼのせいだと思う。 ネロとは互いに男色の関係であったともいわれる。 ネロと呼ばれたので女性(三度目)。 外見は似ていないが性格は多少近い設定。冷酷なヘタレ。長身美女。 自分を暗殺したのでアサシン。使った逸話はないけど双短剣キャラ。宝具はネロの天敵である。
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蒐集:A+ 弁慶が行った太刀狩りの逸話の具現。 サーヴァントに付随する武具がその所有者を失ったとき、 弁慶が自身の魔力を消費して現界させ続ける事ができる。 【A+ランク】武蔵坊弁慶 【Aランク】 【Bランク】 【Cランク】 【Dランク】 【Eランク】
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前ページ次ページデジモンサーヴァント 「はあはあ……」 俺は走る。 無我夢中で。 気がついたら、俺は何故かこの姿になっていた。 気がついたら、俺はリアルワールドにいた。 気がついたら、俺は見たことも無い機械を手に持ち、何故かそれの名前を知っていた。 人間たちが、俺を恐れている。 恐れていない人間たちは、他のデジモンたちと連携して、俺を捕まえようとする。 彼らは俺に呼びかける、「危害を加えるつもりは無い」と。 それを聞き、止まろうとして、突如として正面に現れた鏡のような物体に俺は突っ込んでしまった。 その日、一人の究極体が錯乱状態で都内を彷徨い、突如としてその姿を消した。 分かっているのは、我々の呼びかけに反応し、止まろうとしたことだけである。 俺がサイバードラモンと出会った方のデジタルワールドから来たのか、賢と出会った方のデジタルワールドから来たのか……。 ひょっとしたら、どちらでもない全く別のデジタルワールドから来たのだろうか? 真相は闇の中だ……。 秋山リョウ 第一節「ナイト・オブ・ザ・ミョズニトニルン」 視界が晴れると、そこは草原だった。 そこには、さっきまでいたリアルワールドのそれとは明らかに違う服を着ている人間たちがいる。 自分が召喚した者を見て、ルイズは戸惑った。 漆黒の鎧をまとい、マントを羽織った、目の前の存在に。 他の生徒たちは、メイジを召喚したのかと、どよめく。 だがルイズは、何となくではあるが、目の前にいるのは人外ではないかと思った。 「ここは何処だ? 教えてくれ」 彼が声を発し、それにルイズは自然と応えた。 「ここは、トリステイン魔法学院よ」 「聞いたことが無いな……。俺は……アルファモン。君の名は?」 「ルイズよ」 「ルイズか……。ルイズ、俺は、何故ここにいるんだ?」 何故か憔悴しているアルファモンを落ち着かせようと、自分が召喚したと告げようとした直後、隣にいるコルベールに遮られた。 「ミス・ヴァリエール、他の生徒たちを待たせてはいけません。先に契約を済ませてください」 コルベールに促され、ルイズは渋々先に契約を済ませることにした。 「ごめんなさい、事情は後で話すから」 アルファモンに謝罪し、コントラクト・サーヴァントを詠唱して、口付けした。 アルファモンは驚くより先に、凄まじい熱さを額に感じ、思わずうめく。 その額には、純白のルーンが刻まれていた。 「い、今のは!?」 「大丈夫、ルーンが刻まれただけよ」 その日の夜、ルイズは自室で、アルファモンにこの世界のこと、サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントについて、アルファモンに教えていた。 アルファモンは、自分がルイズによって召喚され、そしてあのときのキスで使い魔になったことを知る。 落ち着きを取り戻したアルファモンは、不思議とその事実を受け入れていた。 究極体である彼に、ルーンの洗脳効果は効かない。 彼は自分の意思だけでそれを受け入れた。 ルイズは、今度は問い質した。 何処から来たのか、何者なのか、そして召喚された時に手に持っていたものは何かを。 アルファモンは、淡々と答える。 「俺は、こことは違う別の世界から来た、「デジモン」という人外の存在だ。そして、これに関しては「デジヴァイス」という名前以外全く分からない」 「別の世界から来た!?」 「そうだ。俺はデジタルワールドと呼ばれるデジモンたちが住む世界から、人間たちが住むリアルワールドに迷い込み、そこで君に召喚された」 「そうなの……」 そして、アルファモンはルイズにデジヴァイスを手渡した。 驚くルイズを尻目に、アルファモンは続ける。 「これを君に」 「いいの?」 「何となくだが、君が持っていた方がいい気がするんだ」 そう言って、アルファモンは更に続けようとするが、思いとどまった。 広場から、女子寮へと行く際、違和感を感じた。 ルイズだけ、歩いていたことに。 何故ルイズだけ歩いていたのかを聞こうとしたのだ。 (俺は今、聞いてはいけないことを聞こうとした……) 気を取り直し、アルファモンはそっと話題を変えた。 「ルイズ、使い魔とは、何をすればいいんだ?」 「使い魔には三つの役目があるの。感覚の共有に秘薬の材料の調達。そして主の身を守ること」 ルイズの説明に、フムフムとうなずくアルファモン。 ルイズは試しに目を閉じる。 そこには、アルファモンを見上げながら両目を閉じた自分の姿が移った。 「感覚の共有は可能みたいね」 「秘薬の材料の調達だが、俺はこの世界に来たばかりだから無理だな。そして最後の一つ……、俺にうってつけ、だな」 「あなた、強いの?」 「あまり嬉しくはないが、強い」 そう言って、アルファモンはうつむく。 悪いことを聞いてしまったと勘違いしたルイズは、思わず謝りそうになったが、アルファモンに先手を打たれた。 「君は悪くない。悪いのは、勝手に感傷に浸った俺の方だ」 アルファモンはそう言って立ち上がり、ドアに手をかける。 「何処へ行くの?」 「散歩も兼ねて、学院内を探検してくる。安心しろ、逃げたりしないさ」 夜の学院を、アルファモンが歩き回る。 アルファモンは、学院の内部をある程度見てまわったところで食堂に入り、小さな人形たちが踊る光景を目の当たりにする。 アルファモンにとって、それは不思議以外の言葉が当てはまらない光景だった。 「魔法で動いているの、か?」 アルファモンを尻目に、アルヴィーたちは踊り続ける。 彼らの踊りをしばらく眺め、やがて飽きてきたアルファモンは食堂を出ようとした。 しかし、背後に気配を感じ、右腕を振り回しながら物凄い勢いで振り向く。 そこには誰もいない。 よく見ると、ネズミが月明りに照らされていた。 「ネズミか」 そう言い残し、アルファモンは食堂を出た。 アルファモンの足音が徐々に遠くなる。 聞こえなくなった直後、ネズミは暗がりへと逃げた。 直後、そこから人のようなものが現れる。 「空白の席の主……、まさかこの目で見れようとはな。我(われ)がオスマンの使い魔となりて百と五十年。これだから人間の側にいるのは止められぬ」 平時はネズミに化け、モートソグニルと呼ばれる、オールド・オスマンの使い魔。 七大魔王が一人、リリスモン。 「弄りがいがなさそうだから、代わりにルイズの方を弄ってやるかの」 リリスモンは月明りに照らされながら微笑んだ。 次回、「アイ・アム・ナッシングネス」まで、サヨウナラ…… 前ページ次ページデジモンサーヴァント
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クラス:ルーラー 属性:秩序・中庸 真名:コスモス 出典:生物 性別:女 地域:地球 身長・体重:147㎝・45㎏ ステ―タス:筋力E耐久D敏捷D魔力B幸運B宝具C クラス別スキル 対魔力(C) 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 真名看破(C) 直接遭遇したサーヴァントの真名・スキル・宝具などの全情報を即座に把握する。 真名を秘匿する効果がある宝具やスキルなど隠蔽能力を持つサーヴァントに対しては、幸運値の判定が必要となる。 神明裁決(C) 召喚された聖杯戦争に参加している全サーヴァントに対して、2回まで令呪を行使できる。 他のサーヴァント用の令呪を転用することは出来ない。 保有スキル 自然美(B+) 自然によって磨かれた美。 自然豊かな場に限り他者を魅了することが可能。 仕切り直し(C) 戦闘から離脱する能力。 人生謳歌(A) 人生を謳歌しており、未練がない。 ルーラーの精神性の表れのため、精神干渉を完全に無効化する。 宝具:『調和保つ平和の赤盾(イリニ・コスモ)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大補足:1人 自身の花を模した赤い盾。 相手の攻撃から守護する盾だが、条件を満たさなければすぐに砕け散る。 『相手が悪属性』、『相手が混沌属性』、『一般人に被害が及ぶ』の条件をクリアすることで本領が発揮できる。 名前
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「汝こそ巻物を受け取り、その封を特に相応しきもの。 汝は屠られ、その血でもって、あらゆる種族と言葉、あらゆる人々と国家から、我々を神の為に贖ったからである。 そして、我らを神の為の王とし、祭司とした。 そして、我らは地上を治めるだろう。」 ヨハネ黙示録 五章九~十節 ARCHER 「この聖杯戦争とやら―――どうにもキナ臭ぇな。」 「……?何言いだすのよ、急に。」 深夜、ダイニングルーム。 赤い服を纏った魔術師の少女―――遠坂凛は紅茶を飲む手を止めて、怪訝な表情でテーブルの向かいに座る青年を見た。 彼に目を向けてから凛は、『あぁ、そう言えば今飲んでいる紅茶の産地は彼の故郷だったか』―――などと益体の無い事を考えた。 そこにいたのは若く、そして逞しい男だった。 二mを超えるその巨体は筋肉によって覆われ、西洋風のダイニングルームを途方もない存在感で埋めつくしている。 着ている服は簡素な脚絆に裾の長い明るい色の外套のみで、浅黒い肌と鍛え抜かれた筋肉を惜しげもなく曝していた。 この尋常ならざる気配を纏う男は当然ながら尋常の存在ではない―――冬木において五度目が執り行われようとしている聖杯戦争、それに参戦する遠坂凛によって召喚されたサーヴァントである。 彼のクラスは『弓兵』―――アーチャー。 地下の工房で儀式が行われたにもかかわらず、屋敷の天井をぶち破って召喚されるというトラブルこそあったものの、サーヴァントが記憶を失って真名すら忘れてしまうといったような致命的なトラブルは避けられた。 無論、そのとき多少のドタバタこそあったものの、それも一段落つき、凛とアーチャーは紅茶を飲みながら交流を持っていたのだが―――。 「キナ臭ぇ、まったくもってキナ臭ぇ。」 「臭い臭いって、だから何がそんなに臭いってのよ。」 「だから言ってんだろ……この聖杯戦争ってぇのがどうにも臭うんだよなぁ。」 そう言ってアーチャーは渋面を作り、紅茶を一口啜った。 アーチャーが聖杯戦争の何が気に入らないのかはわからない―――しかし、聖杯戦争は遠坂家を含む三家の作り上げた儀式。 そしてそれに参加するために十年に渡り準備を進めてきた凛は、自分の大事なものを否定されたような気になり、その瞳に険のある光を宿らせた。 「あらあら、そこまで気に入らないことがあるんだったらちゃんと言葉にして言ってくれないかしら?私はマスターとしてサーヴァントの不安要素を取り除いてあげる義務があると思ってるのよ?」 そう凛が猫なで声で囁くと、アーチャーは顔を焦りの表情で引きつらせて弁明した。 「い、い、いやその、俺は気になることがあったってだけで、別にマスターが気に入らないとか召喚のときに頭う打ったのを根に持ってるとかそういうわけじゃねぇんだって!!」 「ふーん……。…………ふーん。」 「いや、だからその笑顔やめろって目が笑ってない!!」 歴戦の戦士たるアーチャーが震えあがったところで凛はそのあくまスマイルをようやく収めた。 一息ついた所でアーチャーは言葉を選びつつその説明を始めた。 「これは……根本的な問題としてだな。『俺が召喚された』という事実、それが異常事態じゃねぇか、って考えてんだ。」 「………?それが問題なの?あなたは私が狙って召喚した英霊だし、召喚した英霊をサーヴァントとして使役するのは冬木の聖杯戦争の根幹で、なにもおかしいところはないわよ?」 「まぁ、そうかもしれんがな……。」 凛としては何も問題はない。 召喚の際に些細な事故が発生したが、大筋の所はすべて理想通りに事が運んでいる。 奇跡的な確率で手に入れることが出来た英雄の聖遺物、完璧な召喚陣の設置、魔力のピークとなる時間帯に合わせた召喚の儀式。 すべてが恐ろしいほどうまくいっている。 彼女が手に入れた聖遺物にゆかりのある人物は掛け値なしに最高位の格を持つ大英雄。 召喚されたアーチャーの名はパラシュラーマ、ヴィシュヌ神六番目の顕現体であり、すべてのクシャトリヤを単騎で二十一度殲滅したという規格外の傑物。 後にはビーシュマ、ドローナ、カルナといったインド神話に名を残す英雄を育て上げたという。 その身は武術に精通し、魔術を修め、あらゆる武具を使いこなしたと言われる。 まさに天下無双の大英雄である。 こうしてサーヴァントとして召喚され、凛はそのステータスを読み取り確信した。 『この戦いは私の勝利だ』と――――――。 「……そう期待されてるところ悪いんだが、そう簡単に行くとは限らねぇなぁ。」 「だから、どういうことなのよ……。」 だが、凛の前に座るアーチャーは彼女の確信に対して疑問を呈している。 凛がみる限り、アーチャーの能力値には一部の隙も見当たらない。 正直なところ、対抗できるサーヴァントがいるとは思えなのだが―――? 「まぁ、自慢じゃねぇが、普通なら俺は誰にも負けねぇよ。その辺の名のある英雄なら、一山幾らで消し飛ばす自信がある。ただ―――、」 「ただ―――?」 「この聖杯戦争には、もう一人『俺』がいる。」 その瞬間、部屋の空気が凍りついた。 「なん…ですって?」 凛の声が知らず、上擦る。 無理もない話である。 パラシュラーマが自分と同一視する相手がどのようなものなのかは決まりきっている。 つまり、同じ維持神ヴィシュヌの顕現体(アヴァターラ)に他ならない―――! 「……誰が来てるのか、わかるの?」 「そこまではわからん。ただ、なんとなくわかるんだよ。『いる』ってな。」 アーチャーは虚空を睨むようにして、視線を遠くへ向けた。 凛は考えこむようにしてカップの中の紅茶の波紋に目を落とした。 インドの神話において世界を維持する神とされるヴィシュヌ神は十の化身をもって地上に降り立つとされる。 その姿や役割は様々で、大洪水を予言する魚であったり、生命の真意に辿りついた解脱者であることもある。 しかし、聖杯戦争にサーヴァントとして召喚されたということは当然、戦うことを前提とした化身が召喚されているだろう。 だとするならば―――その中にはパラシュラーマを制しうる者もいるかもしれない。 少なくとも―――――この聖杯戦争は楽勝ムードで終わることのない、一筋縄ではいかないものとなるだろう。 そこまで凛が考えていると、アーチャーが口を開いた。 「俺――――――いや『俺達(ヴィシュヌ)』の役割は世界のあり方を維持することだ。だから、地上に顕現するということは世界そのものに大きな危機が迫っているということと同意義なのさ。」 「……………。」 「いや、本来地上に用の無い英霊を呼びだすのが冬木のサーヴァントシステムだってぇのはわかってる。けどなぁ、それでも考えざるを得ないんだよなぁ―――『俺達(ヴィシュヌ)』が同じ場所に二人も召喚されることの意味ってやつをよぉ……。」 まさかラーマーヤナでも始まるんじゃねぇんだろうなぁ、とアーチャーがおどけた庄氏で言う。 凛は茶々を入れることも、口を挟むこともなく、無言でそれを聞いていた。 何か得体の知れない、大きなモノの予感を感じて―――――。 LANCER 「今夜はここを野営地とします。」 「―――いや、それはどうかと思う。」 寒風吹きすさぶ、冬木市の某日。 スーツ姿の若い女性が河川敷でそう宣言した。 すると、その横に虚空から簡素な貫頭衣を纏った人物が現れる。 「何か、問題でもありますか、ランサ―?日本に入国してからというもの、こうして野営をしてきたではないですか。」 「うん、そうだね。それは分かっているけど―――折角目的地に到着したんだからちゃんとした宿を取ればいいんじゃないかと、僕は思うんだ。」 「不要です。」 ランサ―と呼ばれた貫頭衣の人物の提言をスーツ姿の女性はばっさりと切り捨てる。 「最小限の生命活動が維持できるのでしたら、宿に泊まるのも野宿するのも大して変わらないでしょう?」 「それはそうかもしれないけどね……。」 女性の声音は何が問題なのか分からない、という純粋な疑問が込められていた。 ランサーはそれを見て中性的な顔に諦めの表情を浮かべた。 「わかったわかった……。幸い近くに川が流れていることだし、僕は魚を取ってくることにするよ。夕食はそれでいいね?」 「はい、ありがとうございます。では私は調理の準備をしておきましょう。」 そう言うとスーツの女性は鞄を地面に置いてから、足もとの石を拾い集めて円形の囲いを作り始めた。 どうやら即席の炉を作って焼き魚にするつもりのようである。 自分の生きていたころと違い、文明が発達しているのだからその恩恵に預かればいいのに――――――そう思いながらランサ―は知覚を研ぎ澄まし、水の中を泳ぐ川魚に狙いを定めた。 スーツの女性の名はバゼット・フラガ・マクレミッツという。 まだ若い身でありながら魔術協会において歴代最強の封印指定執行者と呼ばれる戦闘特化の魔術師である。 彼女は魔術協会から派遣され、この冬木の聖杯を征して聖杯を回収するという任務を帯びている。 その彼女が派遣されるあたり、魔術協会が彼女の為に選定した英霊こそが現在の彼女のサーヴァント、ランサーである。 ランサー見た目の印象を一つ上げるのならばその中性的な美しさが上げられるだろう。 若草色の長い髪とごくごく単純な衣服がその美を際立たせている。 しかし、その一方で端正な顔立ちはどこか無機質で作り物めいたものも感じさせる、奇妙なものであった。 そう、もとより彼は英霊である以前に人ではない。 彼の名はエルキドゥ。 神の手により形作られた泥人形。 そして、最古の英雄王がその隣に並び立つ事を認めた唯一無二の存在―――。 協会が誇る最強の執行者と最古の叙事詩に名を残す英雄。 間違いなく無双の実力を有するであろう主従である。 そしてその主従は今―――――― 河川敷で魚を食っている。 「それで―――これから先の予定など、訊いてみても構わないかな?」 ガツガツガツッ!ハフッ、ハフッ!!ハムッ!! 「えぇと―――、」 「ゴクン――――――。え、あぁ、すいません。もう一度お願いします。」 バゼットは口の周りに食べかすをつけたまま、ランサーに訊き返した。 彼女が先ほどまで食べていたものは、ランサーがとってきた川魚の丸焼きである。 それを串に刺さったままのそれに丸ごとかぶりつくワイルドさは大自然の中ではさぞかし絵になったであろうが、生憎とここは現代日本の地方都市であり、少なくともスーツ姿の麗人がするような食事方法ではないだろう。 とはいってもそのような『瑣末なこと』を気にかける細やかさとバゼットは無縁であり、栄養に不足がないのであれば高級料理店のフルコースもカ○リーメイトも彼女の前では同じものだろう。 その色々な残念ぶりに苦笑しながらも、ランサーはもう一度同じ質問をした。 「こうして冬木市についたわけだけど、まず最初に何をするんだい?」 さっそく他のサーヴァントやマスターについて調べるということでも構わないけど―――とランサーはそう言った。 彼の『気配察知』のスキルは最高ランクであり、少し見て回るだけで冬木市全体を把握することも容易である。 命令があれば彼は即座に敵を補足し、戦いを仕掛けることができるだろう。 しかし、バゼットは首を振った。 「いえ――――――まずは聖杯戦争の監督役に会いに行きます。」 「監督役?」 「はい。冬木の聖杯戦争には聖堂教会から監督役が派遣されるのですが―――その監督役が私の旧知の仲なのです。」 そう言って、バゼットは今まで引き締めていた表情を少し柔らかくした。 「私が封印指定の執行者として魔術師狩りをしていたように、彼は聖堂教会の代行者として魔術師を狩っていました。たまたま任務で一緒になることもあり、度々共闘もした仲でした。」 「なるほど―――とはいってもねマスター。」 「わかっています。監督役と知り合いだからといって何か便宜を図ってもらおうとは思っていません。」 ランサーが少しからかうような口調で言うと、バゼットはむくれて反論した。 いつも真面目な表情ではなく、そう言った顔をしていればもっと綺麗なのだろうけど、と彼は思ったが口には出さなかった。 「その、監督役の名前は何と言うんだい?」 「言峰綺礼、と言います。良い人ですよ。」 「良い人……か。」 ランサーはその端正な顔立ちを少し傾かせて考える仕草をした。 それを見ながら、バゼットは二本目の焼き魚の焼き加減を確かめている。 「どうかしましたか、ランサー?」 「いや、マスターの世間知らずはよく知っているからね。はたして人を見る目はどの程度のこなれているのだろう、と心配になっただけだよ。」 「……………。」 たっぷり数秒かけ、その言葉の意味を咀嚼して飲みこんだバゼットは顔を赤くして生きを荒げた。 「だ、だだだだだ誰が世間知らずですかランサーっ!!マスターに対する侮辱ですよそれはっ!!」 「いや、正直なところ心配にもなるよ。ひょっとすると森生まれの僕より世俗に明るくないんじゃないかと――――――。」 バゼットはそんなことはないと弁明するが前科があるので仕方がない。 冬木来るまでに電車を使おうとして、切符の券売機を使えず拳で破壊し、警備員に御用になったのは他でもない彼女である。 結局、器物破損の罪に問われる前に逃げおおせて徒歩とヒッチハイクを駆使して冬木市に入ることが出来た。 正直、聖杯に知識を与えられただけの自分の方が現代に順応しているのではないかとランサーなどは思っている。 「と、とにかく、明日の朝に監督役に挨拶をして、私たちの聖杯戦争の本格的な開始はそれからとなります。いいですね?」 バゼットはそうピシャリと言うと、焼き魚にかぶりついた。 この話はもうおしまい、ということだろう。 「良いということにしておくよ。」 そう言ってランサーは実体化を解除した。 若草色の長い髪が端から光の粒子になって消えて行く。 霊体化しきる直前にランサーはふと思った。 ――――――わざわざ野宿しなくても監督役の下に行けば一晩の宿くらいは貸してくれたのではないのか、と。 やはり自分のマスターはどこか抜けているな、と思い、ランサーは改めて自分がマスターの面倒をみるという決意を固めたのであった。 ARCHER from previous war ―――ジリリ…ジリリ…… 夜の冬木教会に電話の音が響く。 既に時間は丑三つ時を回っており、こんな時間帯に教会に連絡を取る人間などよほど切羽詰まっているのか、あるいはよほど神に対して敬意を払っていないかのどちらかであろう。 ―――ジリリ…ジリリ…… なんにせよ、先ほどからその電話の音は鳴り止まず、教会の一室でいささか時代遅れの感のある黒い電話がけたたましく音を立てていた。 やがて、部屋の戸がガチャリ、と音を立てて開き、僧服の男が姿を見せた。 男はこんな深夜に電話をかけてきた相手になんの苛立ちを見せることなく、受話器を手に取った。 「言峰綺礼だ。」 『我(オレ)だ。』 電話の相手は名を名乗るでもなく、尊大にそう一言告げた。 その声は電話越しにもわかるほどに、抗いがたい威厳を感じさせた。 言葉でなく心で、心以上に本能で格の違いを理解させられるような威厳だった。 しかし、電話を受け取った神父―――言峰綺礼はそんな相手のことはもう慣れたものだと言わんばかりの平常心だった。 「お前か―――連絡をよこすとは珍しいな、ギルガメッシュ。」 『はっ、この我が久々に、直々に連絡をしてきたのだ。王に対する不敬だな。お前でなければ首を撥ねていたかもしれんな。』 「そうか、それで用件はなんだ。」 ギルガメッシュ、と呼ばれた電話の向こうの人物は物騒な事を口にした。 そしてそこには撥ねると言ったら、実際に撥ねるだろうということがわかる呵責の無さがにじみ出ていた。 だが、綺礼はそういった言葉は無視して簡潔に言うべきことのみ言うように、と相手を促した。 『まったく、生真面目な所は変わらんな言峰。そんなところが面白いのだが――――――まぁよい。用件を言うとだな、我も近いうちに冬木に戻ることを決めた。』 「――――――ほう?」 ギルガメッシュの言葉を受けて言峰の声に戸惑うような、楽しそうな感情が混じる。 今の冬木市にやってくる―――それは聖杯戦争に参加するということ。 そして、前回の聖杯戦争で召喚されたアーチャー、英雄王ギルガメッシュが帰ってくるということに他ならない。 「ふむ―――音沙汰が無いのでなてっきり興味が無いと思っていたのだが。」 『勝手に我を推し量ろうなどと思うなよ、言峰。』 あくまでギルガメッシュはその尊大さを崩さず続ける。 『まぁ、前回の聖杯戦争で聖杯というものがどんなものかは知った。確かに碌でもないものだが、宝は宝……そして、宝である以上は我のもの。他の雑種どもの手に渡してやる道理はない。』 「なるほど、変わらんなお前は。」 『それに、だ。物は使いよう。聖杯が満ちた暁には何かに使っても良いかもしれん。』 「聖杯の使い道―――か。」 言峰は興味深そうに相手の言葉を反芻した。 前回の聖杯戦争でも、英雄王ギルガメッシュは聖杯にかける願いはもたなかった。 なぜなら彼は世界が一つだったころの、無二の王。 世界は彼の庭であり、人々はすべからく彼の臣民であり、すべての財宝は彼の所有物だった。 時代が下り、国や文明が興っては消え、現代にいたっても、彼に言わせればいまだ世界は彼のものである。 そして財宝と名のつくものはそれがどのようななんであれ当然、彼のものであり、聖杯とて例外ではない。 故にギルガメッシュは宝物を奪わんとする雑種達に誅を与えるために聖杯戦争に参戦したのである。 そして、彼がその様に召喚された第四次聖杯戦争は十年前のこと。 綺礼と契約し最後まで勝ち残ったギルガメッシュは、聖杯戦争の終わりに『聖杯の中身』を浴び、受肉した。 以来、綺礼とそこそこに連絡を取り合いながらこの十年、現世で生活していた。 そして、現在、第五次聖杯戦争が開始される段になり、ギルガメッシュが『聖杯を使う』という言葉を口にした。 綺礼は一抹の興味に駆られて質問した。 「お前の口からそんな言葉が出てくるとは面白いな。何か願いでも見つけたのか?」 『おいおい、勘違いするなよ綺礼。我はあくまで使ってみるのもいいかもしれん、と言っただけだ。具体的にどうこうするまでは決めておらんよ。だが、あえて言うならそうだな――――――、』 そこでギルガメッシュは一旦間を置いた。 少し考える程度の間が空いて彼は続けた。 『そうだな、少し人間を間引いてみるのもいいだろう。幸い、『あの』聖杯はそれにおあつらえ向きではないか。』 「間引き―――――か。悪くない考えだな。」 間引き。 それを人間達に対して行うという事がどういうことなのか、それがわからない言峰綺礼ではない。 だが、この神父は聖杯が行うだろう『間引き』の行程を頭の中で思い描き、是とした。 悪くないと――――肯定した。 『この時代は我が治めていた時代に比べていささか余計なモノが増えすぎた。本来はその様なことは庭師の仕事なのだろうが――――――丁度いい道具があるのだ、ここは王である我が動いてやろう。』 「なるほど、動機は理解した。―――で、いつぐらいに来るのだ?」 『数日もかからん。―――あぁ、そうそう。帰ってきた時の為に酒を用意しておけ。精々我の口にあう逸品を見繕うのだな、綺礼よ。』 そうギルガメッシュが言い終わるとガチャン、という音が立ち通話が切断された。 相変わらずの傍若無人ぶりだな、と思いながら綺礼も受話器を元に戻した。 そのまま部屋を出て、教会の廊下を歩きながらこれからのことを思案する。 ――――――言峰綺礼は破綻者である。 万人が美しいと思えるものを美しいと思えず、万人が悪とするものにこそ強く惹かれた。 彼の心を満たすものは誰かの幸福でなく不幸であり、笑顔でなく苦痛だった。 聖職者の下に生まれ育ち、道徳を理解していたがゆえにその本質から目を背け、空虚を味わい続けた日々もあったがそれはもう昔の話だ。 今、言峰綺礼が求めるものはひとえに愉悦。 悪たる己の心を満たす悲哀と悲嘆と不幸と苦痛。 ――――――そして問わねばならない、悪たるものの生まれた意味を、生きる意味を。 それは求道者として彼が抱き続けてきた、命をかけた問いかけ。 人の魂にとって善しとなるものが快であり、それを求めるものが道徳のはずだ。 ならば自分は何なのか、悪を求め、苦しみをもって悦となす自分は何者なのか。 ―――如何なる理が自分という歪みを産み落としたのか、それを問わねばならない。 そして、その答えは目に見える所まで来ている。 おそらくはそう、この聖杯戦争の、その先に。 「……『この世すべての悪(アンリ・マユ)』」 大いなる期待を込めて、その名を呟く。 言峰綺礼の口元は、静かに深く、嗤っていた。 CASTER 「……さながら地獄の釜だな。」 地の底深く、心底憎々しげな青年の声が地下の空洞に響いた。 本来は光などない地下だが、彼の魔術で作りだされた照明が幾多も宙に浮かび、内部を照らし出していた。 同時にその明かりは青年の姿もまた照らしだしていた。 歳のころは不明である。 一見したところ二十代といった風に見えるのだが、若者というのは憚れるような威圧感と強い眼差しが彼に大賢者もかくやという深みを与えていた。 纏う服は黒地に紫の刺繍を施した、王侯貴族の如きローブと金銀玉石の装飾品。 だが、見る者が見れば彼の服飾品はいずれも尋常ならざる魔術的技法の下に制作された逸品であると理解できるだろう。 彼はキャスター。 第五次聖杯戦争に召喚されたサーヴァントの一騎。 また彼の真名に敬意を表してこう呼ぶべきだろうか。 『魔術王』――――――ソロモン。 ダビデの子、イスラエルの王。 神に授けられし叡智と魔法の指輪をもって七十二柱の大悪魔を使役したとされる、最大の知恵者。 確かに彼ほどキャスター(魔術師)のクラスに据えられるに相応しい英霊もいないだろう。 だが、彼がサーヴァントだというのなら、それを従えるマスターはいかなる人物なのか? 答えるなら、マスターはいない。 いや、正確にはいるのだがマスターの態を成さず、彼の傀儡となっている。 キャスターは召喚された当初から彼のマスターとは折り合いが悪かった。 最終的には彼のマスターがキャスターの魔術の技量に嫉妬を抱くというありさまであり、それを受けてキャスターは自身の主を見限った。 それを可能としたのが彼の宝具『神約の指環(リング・オブ・ソロモン)』である。 対象に触れながら真名を開放することで、対象に対して絶対の命令権を得るこの宝具はマスターとサーヴァントの主従関係すら容易く覆す。 現在彼のマスターはただの現界の為の依り代として生かされているにすぎない。 愚鈍なマスターの制御から離れたキャスターは早速行動を開始し、冬木市でも随一の霊地に陣地を設けた。 つまり、柳洞寺である。 現在、キャスターと彼の使役する使い魔達は急ピッチで陣地を更に拡張し、柳洞寺と円蔵山一帯を要塞化している途中である。 他の陣営に対する準備も抜かりなく進められている。 キャスター自身の手で召喚されたアサシンが諜報の任務を帯びている。 サーヴァントによるサーヴァント召喚という反則の上に成り立ったアサシンは非常に特異な存在であり、気配遮断のスキルを差し引いても『アレ』をサーヴァントと看破できるものはいないだろうと、キャスターは考えている。 今、アサシンは冬木市中に『拡散して』情報収集に当たっている。 そうして、聖杯戦争の準備を整えている最中に、キャスターは異変を察知した。 彼が急速に要塞化している円蔵山の地下に何かが眠っていることに感づいたのである。 そして、彼は調査の末に見つけ出した地下大空洞の中であるものを発見してしまったのである。 「汚らわしい……このようなモノが私の足元に眠っていたとはな……。」 彼はドーム状の空洞の縁に立ち、眼下のモノに侮蔑の視線を向けた。 それは魔力の塊だった。 心臓の鼓動のように一定のリズムを刻んで脈動するそれは数十年かかってこの冬木の土地の霊脈から吸い上げてきたエネルギー。 しかし、ただの魔力の塊ならば無色であるはずだ――――――しかし、ここに溜まっているモノは違う。 その色は黒――――――底なしの呪詛を思わせる邪悪な黒だった。 キャスターはその魔術師としての観察眼から、それがいったい何なのかを理解してしまった。 「これが聖杯か――――――だが、しかしな……」 そう、これが大聖杯。 冬木の聖杯戦争の中枢、莫大な魔力でもってあらゆる願望を実現する万能の杯。 だが―――――― 「だが、こんなものは願望器として機能しえない。あそこに溜めこまれている魔力はすべて呪いによって汚染されている。あんなものに願い(カタチ)を与えた所で、もたらされるのは破壊と殺戮以外にありえない………。」 大聖杯を見下ろしながら、キャスターはそう苦々しげに呟いた。 彼の言葉は正しい。 そう、冬木市の聖杯戦争は既に歪んでいる。 七十年前の第三次聖杯戦争、そのときに召喚されたサーヴァント、アヴェンジャーこと『この世すべての悪(アンリ・マユ)』が大聖杯に取り込まれたときから。 今やアヴェンジャーにより汚染された大聖杯は願望器としての機能は発揮しない。 聖杯が完成した暁には、『この世すべての悪(アンリ・マユ)』はかつてそう望まれたように、真に悪を体現する厄災として生まれ堕ちるだろう。 今、この場にやってきたばかりのキャスターはそこまで解析したわけではない。 しかし、聖杯とは彼が思っていたような都合のいいものでも何でもないということは十分に理解した。 しばらく脈動を続ける大聖杯を見下ろしていたキャスターだが、やがて踵を返してきた道を戻り始めた。 その歩調には新たな彼の決意が込められていた。 「生まれたくば生まれよ!!溢れたくば溢れよ、地獄の釜よ!!そしてそのときにこそ貴様は神の御業の偉大さの前にひれ伏すのだ!!」 彼の指の上で、神より賜りし指環が鈍く光る。 唯一なる主、イスラエルの父たるヤハウェの恩寵は地獄の最も恐るべき悪魔さえ従える。 ならば、聖杯より溢れる邪悪が如何なる何者であろうとも、神意の前に跪くだろう。 「知るがいい邪悪よ、罪悪よ。貴様らはこの世界の影に過ぎぬ、神の威光の眩さを引き立てるための影に過ぎぬ。そのことをこのソロモンが教えてやる!!」 ソロモンの叡智は神の叡智。 ソロモンの栄光は神の栄光。 彼の前にこの世すべての悪が跪くのなら、そのとき神の前にはあらゆる悪徳が跪くと言うことが証明されるだろう。 踵を鳴らし、キャスターは大空洞から立ち去っていく。 彼が去るとともに明かりも消え去り、再び大空洞は闇に沈んだ。 その闇の中で呪われた聖杯は胎動を続けていた。 ASSASSIN 一見したところ、冬木市の今年の冬は例年と変わりのないように見えた。 いつものように空は青錆色の中にくすんだ色の雲を漂わせ、海から吹く潮風は寒さとともに吹きぬけて人々の服の裾を揺らしていった。 道を行く学生たちは年度末の悲喜こもごもに追われ、町に出れば間近に迫ったバレンタインデーの広告でも打ってあるだろう。 そして人々はその中に紛れた異常に気付かない。 否、気付けない。 だが、それは責めるべきことでもないだろう。 町を人知れず漂う『それ』は見るべきものが見て認識できるかどうかがまず怪しい。 「………………?」 通学路を行く高校の制服を着た赤毛の少年が視界の端に何かを捉えて立ち止まった。 その黒い小さな影は音も気配もなく、彼のすぐ横を通り過ぎて行った。 「………虫か?」 彼は周囲をきょろきょろと見回すが、その影をもう一度捉えることはなかった。 何か釈然としないものを感じながら、彼は鞄を担ぎ直して通学を再度歩き始めた。 「そういえば最近、虫が多い気がするな……。」 彼の呟きは正しい。 それは現在冬木市を覆う異常の一端である。 だが、本質にはまだ遠い。 先ほど少年の横を通り過ぎていった小さな黒い影は、やはり人々の認識を避けながら道を飛翔していく。 その影は―――蝗(いなご)だった。 一匹の蝗がその羽を広げて冬木市の町を飛んでいく。 いや、一匹というのは正しくない。 その蝗が進むにつれて、徐々にその数は増えていく。 まるで巣の周りの蜂の群れのように。 少し昆虫に詳しいものが見ればその異常さがわかるだろう。 蝗の成虫は夏から秋にかけて現れ、卵を残す。 そして卵は冬を越した後、春を過ぎたころに孵化して成長していく。 つまり、冬に蝗が編隊を成して飛ぶようなことはあり得ない。 ましてや、稲を主食とする蝗が海沿いであるがゆえに田畑の少ない冬木の町に現れることなど前代未聞である。 だがその異常を認識する人間はいない。 誰が予想しうるであろうか――――――この蝗の群れこそがこの聖杯戦争においてアサシンのクラスで限界したサーヴァントであることなど。 この蝗の群れ―――アサシンは気配遮断のスキルを用いて飛びまわり続けるがゆえに、人間には限りなく認識され難くなっている。 視界に入ったとしてもすぐに飛び去ってしまうが為に、人にはただの黒い影にしか見えないだろう。 アサシンは無数の蝗によって構成される群体であるという利点を生かして冬木市全土を回り、情報を収集し続けていた。 そして今、合流を続けたアサシンの群れは雲霞のごとく膨れ上がり、一カ所に集結しつつあった。 ざわざわと黒い蝗の大群は重力に逆らう雪崩のように恐ろしい速度で山中の階段を駆け上がっていく。 その長大な階段を駆け上がっていけば山門が見え、その山門を抜ければ寺に行きつくだろう。 すなわち、彼―――そう言っていいのか定かではないが―――の拠点である柳洞寺である。 やがて階段を上りきった蝗の群れは、山門の前に固まり始めた。 その虫により形作られた黒雲は、やおら動きを止めると大きく渦を巻くような動きを始めた。 その蝗の群れは回転数を上げるにつれ、中心に向かって引きずりこまれるように徐々にその体積を減らしていく。 そして回転がおさまったとき、そこにいたのは蝗ではなく一人の人間だった。 「……………………………………………………………………。」 その男を形容するのならば『黒』という一言に尽きるだろう。 一般的成人男性より随分と背の高い体を覆うのは黒い外套と黒い帽子だ。 それだけでなく、脚絆も靴も外套の下の服も、それどころか裾から覗く手や帽子の下の顔までもが黒一色に塗りつぶされていた。 さながら黒いプラスチックでできた精巧な人形のような人物だった。 蝗を固めて人間の姿を形作ったアサシンは、手のひらをニ三度握りしめて体の動作確認をすると、足をゆっくりと上げて山門に歩み寄った。 すると山門は手を触れてもいないのにゆっくりと開き、アサシンを招き入れた。 「……………………………………………………………………。」 アサシンの中に登録されている情報はそれが彼のマスターの使い魔が行っていることだということを把握している。 そして彼にそれに関する感想はない。 もとよりこのアサシンは名を与えられた現象をサーヴァントという型にはめたことで形を成しただけの極めてイレギュラーな存在。 聖杯戦争というシステム内でサーヴァントという役割を全うするだけの機械めいた存在である彼に何かに心を動かすという機能は備わっていない。 そして彼は山門をくぐり自陣に帰還する。 本堂に行けば、すでに柳洞寺の全住人を支配下に置いている彼のマスター――――――すなわちキャスターと呼ばれる人物に出会うだろう。 現在の彼の役目はアサシンのサーヴァントとして彼のマスターに調査の結果を報告することにある。 あれのマスターであれば言葉すら持たぬアサシンの中から情報のみを引きだして精査することなど造作もない。 彼の―――アサシンの真名はブラックライダー。 ヨハネ黙示録に現れる第三の騎手。 群れを成す蝗で表わされる、最も多くの人間に静かなる死を与えた災厄。 すなわち――――――『飢餓』。 RIDER 間桐家。 数百年前にアインツベルン、遠坂とともに聖杯戦争という儀式を作り上げた御三家の一角。 元々は異国から日本の冬木市へと移住してきた魔術師の一族なのだが、現代では素質を持った子孫に恵まれず衰退の一途を辿っていた。 しかし、その様なことは瑣末事。 極端なことを言うのなら、ある一人の魔術師が生きていれば間桐は健在である。 その一人とは間桐臓硯―――かつてはマキリ・ゾォルケンと呼ばれ、最初の聖杯戦争にも立ち会った長き時を生きる妖怪めいた魔術師である。 臓硯は魔術による延命を通して、耽々とその野望―――すなわち不老不死の成就を狙い続けてきた。 肉体と魂が腐敗し続けてもなお―――である。 彼の予定に反して第五次聖杯戦争は早く開催されてしまったが、それは彼が参加しない理由にはならなかった。 前回は間桐から出せる駒が無かったため参加を渋っていたが、幸いにして今回は経験こそ未熟ながら素質のある魔術師が養子として間桐にいる。 元々胎盤として扱うだけのつもりであったが、聖杯戦争の開催が早まったのなら是非もない。 彼はあたれば儲けものという心持で聖杯戦争への準備を始めた。 そしてサーヴァント召喚の日、間桐臓硯は『ちょっとした思いつき』で、令呪を宿した戸籍上孫娘に当たる少女に『あるもの』をサーヴァント召喚の触媒に使わせた。 そしてその結果は彼の予想をはるかに上回ったものだった。 予想を上回って―――――――――最悪だった。 「………………な、なんじゃこれは………っ!?」 召喚陣の上、魔力の光と風が止み召喚されたモノの姿が露わになる。 それを視界に入れた瞬間、臓硯の総身に怖気が走った。 彼の隣では召喚を行った少女―――間桐桜がへたり込んでいるがそれに気を使う余裕などない。 そして『ソレ』が口を開いた。 「これはまぁ、なんとも汚らしい穴蔵で妾(ワタシ)を召喚したものねぇ……。」 通常、サーヴァントというものは召喚されればまず、目の前にいる人間に自分のマスターかどうかを問うものだ。 少なくとも、臓硯が知る限りではそうだった。 しかし、『アレ』には彼の常識は通用しない。 ――――――『アレ』は呼んではならぬものだ。 臓硯の脳裏にそんな言葉が浮かぶ。 「あらぁ………貴女が妾の主(マスター)かしらぁ……?可愛い女の子ねぇ……妾結構好みよ、貴女みたいな娘。」 召喚陣の上に立つ女の姿をしたモノが放心状態の桜に声をかける。 『ソレ』は美しい女の姿をしていた。 女は紫と赤の衣を着て、金と宝石と真珠で身を飾り立てていた。 その瑞々しい肌は少女のように滑らかで豊満な体は熟女のよう肉付いていた。 ルビーのように紅い瞳と血のように赤い唇が微笑みを形作れば老若男女が腰砕けになるだろう。 そして、だからこそ――――――おぞましい! 「さ、桜―――令呪じゃ!!令呪を使うのじゃ!!」 臓硯の振り絞るような声が間桐家の地下工房に響き渡る。 その声で放心していた桜は我に返り、桜をジロジロ眺めていた女は臓硯の方へと顔を向けた。 かまわず、臓硯は口角泡を飛ばして叫んだ。 「令呪でもってそのサーヴァントを自害させよっ!!『ソレ』はあってはならぬ英霊じゃ!!否、英霊ですらない!!そやつはお前の手に負えん、手遅れになる前に―――――――――、」 「……………はぁ~~~ぁ」 必死の形相で孫娘に命令する老魔術師。 しかし、女はそれに心底鬱陶しそうな顔を向けて、一言呟いた。 「邪魔。」 その瞬間、臓硯が痺れたように動きを止めた。 女の手の中に杖が現れる。 否、それは杖のような杯だった。 ゴブレットの持ち手部分を引き伸ばしたかのようなそれを携えて女が唱えた。 「『そして我は浜辺に立ち、一匹の獣の海より出ずるを見たり』。」 その瞬間、空気が震えた。 女の言葉に従うように、背後の空間に波紋が走る。 赤黒い邪悪な光を放ちながら波紋が広がり、その中心から姿を現したものは―――――――――獣の頭だった。 「やりなさい。」 女が静かに命令を下す。 獣がゆっくりと顎を開く。 その一連の絵を間桐臓硯はやけに冷静な気持ちで見つめていた。 そして、彼は女の姿を見たとき自分の体に走った悪寒の正体に気付いた。 ――――――――なるほど、これが恐怖というものか。 獣の咆哮を耳に残して、間桐臓硯の肉体はあっけなく消滅した。 「ん~~~―――まぁ、こんなものかしらね?」 魔力の奔流と音とも言えぬ轟き。 思わず目を閉じて耳をふさいでいた桜が顔を上げると間桐家の工房である地下の蟲蔵は一変していた。 「――――――――――――っ」 その惨状に声を失う。 桜のすぐ横、臓硯の立っていた場所が消滅している。 より正しく言うならば、床としての原形をとどめていない。 その破壊は放射状に広がり、蟲蔵の壁と床と天井の約半分がまるで濃硫酸でもぶちまけたがごとく爛れていたのである。 「まぁ、やったわけじゃないみたいだけどぉ………化けて出てきてもちょっかいは出してこないでしょうねぇ……多分。」 桜が震えながら首を動かすと、そこには踊り子のような豪奢な衣装を纏った女が立っている。 桜のみならず、間桐の家の誰もが恐れ逆らうことのできなかった間桐臓硯を消滅させた女が。 そして、間桐桜が召喚したサーヴァントが。 「えーっとぉ……ちょっと邪魔が入ったけど、貴女が妾の主ってことでいいのかしら?」 その女が桜の方へと顔を向ける。 女と目が合った瞬間、桜はもうその眼をそらすことが出来なくなっていた。 謎の威圧感に気圧されて、桜は無意識に頷いてしまう。 深紅の目が、真紅の眼が、桜の心の奥底まで見通すように観察する。 だが、桜は不思議とそれに不快感を覚えなかった。 むしろそれが心地よかった。 まるでその視線は身も心も溶かす愛撫のような心地よさで―――――――――、 「ん、いいわぁ。色々と面白そうなものを抱えてるみたいだし、ごうかーくっ。」 あと可愛いしねー、という女の能天気な声で桜は意識を戻した。 女は妖艶な微笑みを浮かべて座り込んだままの桜に手を差し伸べる。 「妾はライダーよ。そっちの名前は?」 桜がその手をつかむとぐい、と引き起こされる。 不思議といつまでも握っていたくなるような手だ、と桜は思った。 「桜……間桐桜、です。」 「サクラね。これから当分よろしくぅ、サクラ♪」 桜が答えると、女―――ライダーは笑う。 あくまで、楽しげに笑う。 その笑みに目を離すことが出来ないまま、桜は言いにくそうに口を開いた。 「ライダー……さん。私、ちょっと言っておかないといけないことが……。」 「あぁ、さんなんてつけなくてもいいわよぉ。呼び捨てにして頂戴。で、何かしら?」 「じゃぁ……ライダー。私、実は………戦うつもりなんて、ないの。」 自分は元々聖杯戦争に参加しようという気はなかった、しかし自分に令呪が宿ってしまったため仕方なくサーヴァントを召喚した―――――そういった旨を桜は幾分申し訳なさそうに語った。 それをライダーはふんふん、と頷きながら聞いていた。 「だから私、あとでマスターの権限は兄さんに譲ろうと思って――――――、」 「うん、わかったわぁ。それじゃあ、戦うのは無しにしましょう♪」 「――――――え?」 申し訳なさそうな表情をしていた桜はライダーの提案を素っ頓狂な顔になった。 それもそのはずである。 サーヴァントとして召喚される英霊は、それぞれ聖杯を求めて戦うにたる動機がある。 そうでなければ英霊ともあろうものが魔術師の使い魔に身をやつすという理由にはならないからだ。 「え、えぇ……!?ライダー、あなた聖杯は……?」 驚愕して問いかける桜にライダーは手のひらをひらひらと振って答える。 「あぁ、いいのよそんなのぉ。一応妾にもやらなきゃいけないことは色々あるみたいなんだけど、それも面倒だからしばらく現世で遊ぶとするわぁ。折角本来とは違う役目で召喚されたんだから楽しまないとねぇ♪」 呼ばれてよかったわぁ~、役得役得ぅ~、と鼻歌を歌いながらライダーは衣の裾を翻して地上へ向かう階段へと足を向けた。 桜は彼女の言っている事の詳細はわからなかったが、ライダーは聖杯を勝ち取るために戦うよりも現世で遊ぶことを優先したい、ということはわかった。 階段へ登る豪奢な衣装を纏ったサーヴァントに桜は首を向けた最後に一つ質問を投げかけた。 「ライダー……あなた、真名はなんていうの?」 「真名……?あぁ、知ってて呼んだわけじゃないのねぇ……。ふぅん、やっぱりイレギュラーなのかしら?」 そう呟くと彼女は手を動かして自身の前髪をかき上げた。 露わになった額に赫い光が走り、文字が浮かび上がる。 “MYSTERY, BABYLON THE GREAT, THE MOTHER OF HARLOTS AND OF THE ABOMINATIONS OF THE EARTH” 〈秘された意味と名、大いなるバビロン、淫らな女達と地上の忌まわしき者達の母〉 「マザー・ハーロットよぉ。ライダーでも、ハーロットでも、好きに呼んで頂戴。」 大淫婦(マザー・ハーロット)。 大いなるバビロン。 黙示録においてすべての王を誑かし、すべての民を惑わせるもの。 そして竜より権威を与えられた七頭十角の赤い獣に跨るもの。 それが間桐桜に埋め込まれたものと同じ、『聖杯の破片』を触媒に召喚された最悪の英霊である。 BERSERKER 冬木市から西へおよそ三十キロ、郊外の森。 宅地開拓から取り残されたその森に踏みいる者は少なく、精々が道に迷った旅人か、遊び半分の子供たちかといったところである。 そしてそういったごくわずかな人々に端を発するある噂がこの森にはある。 それは森に出現するお伽の城。 当然ながら公的機関の測量などによっても、そういった建築物の存在が確認された事はない。 しかし、霧の中森の奥にさながら中世ヨーロッパの時代から抜け出てきたかのような城を見たという人がごくまれにいるのである。 ただ、その話を裏付ける物的証拠は何もなく、精々そんな物は四十五日も立たずに消える噂の一つに過ぎない。 だが、その城の正体を知るものは、この森と城をこう呼ぶ。 『アインツベルンの森』、および『アインツベルンの城』と。 「それじゃあ、セラ、リズ。行ってくるね。」 「いってらっしゃいませ、お嬢様。」 「いってらっしゃい、イリヤ。」 そして件の城の正門にて、三人の人影があった。 既に日は落ちて森の霧はやおらその深みを増している。 城の中から洩れる灯かりがその三人のシルエットを映している。 「それにしても………本当にお一人だけで行かれるのですか?私は心配です。」 「心配し過ぎだよ、セラ~。私だって、もう子供じゃないんだから。」 「うん、セラは心配し過ぎ。目元に小じわが増えるよ?」 「リズ、あなたは心配しなさすぎです。それでもあなたはメイドですか。」 三人の人影のうち、二人はまったく同じ服を着ている。 裾の長い白いエプロンドレスと頭をすっぽりと覆うフード。 片方のセラと呼ばれた女性は少ない表情の中に厳しさを感じさせ、もう一人のリズと呼ばれた女性は同じ少ない表情ながら純朴さを窺わせる。 「うん、一応心配してる。でも、セラは間違ってる。」 「……どういうことです?」 「イリヤは一人じゃないから。」 「うん、そうだもんねーっ。」 イリヤと呼ばれた少女とリズが目配せをして微笑みを交わす。 それをセラはやれやれといった表情で見ていた。 イリヤ、とは本名をイリヤスフィール・フォン・アインツベルンという。 毛皮のコートと帽子を纏った、齢十一、ニといった頃の少女。 そして、聖杯戦争を始めた始まりの御三家にして錬金術の大家、アインツベルン家が送り出したマスターたるホムンクルスである。 「私には、バーサーカーがついてるから、何も怖くないもの。」 イリヤがそう言うと、彼女の背後の空気が揺らぎ、新雪のような長い銀髪が揺れた。 空気を弾けさせながら、第四の人影が降り立つ。 人影―――否、それを影と呼ぶのは語弊があるだろう。 それは光だった。 人の形に光そのものを押し込めたような、無色の輝き。 「―――――――――――――――――――――――――――」 そのモノは何かの言葉を発することはなかったが、その頭部に刻まれたスリット部分から覗く赤い眼光が、ソレの主である少女―――イリヤスフィールを捉えていた。 イリヤはその赤い眼光を見返して、小さく微笑んだ。 現れたその存在は外見を見れば確かに人かと見まがうだろう。 しかし観れば、隠しようもない無機質さを感じ取ることができる。 そこには呼吸の気配も、脈拍の様子も見受けられないのである。 鎧武者を思わせるシルエットは、色を感じさせない純白の装甲で形作られている。 顔の表面は無貌の仮面のようにのっぺりとしており、ただ人間であれば眼がある場所に設けられた隙間から赤い光が覗いている。 「それじゃあ、私はバーサーカーと一緒に行ってくるからっ!留守番よろしくね二人とも!」 イリヤは彼女の二人のメイドの方に向かって手を振った。 するとそれに呼応するように、輝くヒトガタ―――バーサーカーに変化が生じた。 ガキンッ、ガキンッ、という音を立ててその装甲が変形する。 体を満遍なく覆っていた装甲が組み替わり機能を変じていく。 やがて、上半身が軽量化され、装甲が下半身後方に集められ、もう一組の足が背後に生成された。 その姿は人の上半身と馬の体を組みあわせたケンタウルスと呼ばれる幻獣に酷似していた。 バーサーカーはその体の変形を完了させると、待っていた己のマスターを抱え、馬のようになった自分の背に乗せた。 「いってきまーすっ!!」 「お嬢様、お気をつけて。」 「バーサーカー、あとは任せるねー。」 笑うイリヤ、案じるセラ。 リズに声をかけられたバーサーカーはそれに答えたつもりなのか、一度その眼光を光らせた。 「バーサーカーっ、出発進行―っ!!」 そして、イリヤスフィールの掛け声とともにバーサーカーは前足を高く掲げ、踏み出した。 その様はまさに疾風。 瞬きをするよりも無く、銀髪の少女を連れた機甲騎士は城より離れて行く。 矢よりも速く森を駆け抜けて行く、四脚のサーヴァント。 その背中にしがみついたイリヤは振動や揺れを感じることも無く、背後に吹き飛んでいく景色をやり過ごして行く。 自分の背負うマスターの身に危険が及ばないように、バーサーカーは速度を上げながらも最新の注意を払っている。 「もうサーヴァントはあらかた召喚されてる……あとはもう一騎っていうところかな……。」 そして、イリヤがぽつりと呟いた。 「最後の一騎、誰が召喚するのかな……確かめに行かないと。………お兄ちゃんだったら、いいなぁ………。」 お兄ちゃん。 その呟きには余人には窺い知れない感情が込められていた。 そして、彼女はバーサーカーにしがみつく両手に少し力を込めた。 「ねぇ、バーサーカー。あなたは私を裏切らないよね。私の騎士様だものね。」 ――――――私の、お人形だものね。 「――――――――――――――――――――――――――――――――――――」 その声が聞こえたのかどうか、言葉を発さないバーサーカーの真意をうかがい知ることはできない。 ただ、主を乗せた機械仕掛けの従者はすでに森を抜け、国道へとその足を掛けた。 駆けるその先には夜を迎えた冬木の町明かりが見えている。 一切の言葉を返さないバーサーカーの心を代弁することは不可能だが、イリヤスフィールが問うたように、彼(?)が最後まで少女の忠実な従者となるかどうかは、ある程度予想することができるだろう。 答えはおそらく、是である。 そもそも一切の自我を持たないサーヴァントである彼にマスターを裏切るなどという機能は備わっていないのだから。 そう、彼はマスターを裏切らない。 ただ、マスターより優先するべきものがあるだけである。 それはサーヴァント・バーサーカーである以前に、彼という英霊に架せられた役割。 彼の名は英霊カルキ。 維持神ヴィシュヌ最後の顕現体(アヴァターラ)。 末法の時代(カリ・ユガ)を滅ぼし、黄金の時代(クリタ・ユガ)をもたらす裁定者。 彼の使命は一切の邪悪を滅ぼし、あらゆる悪徳を葬ること。 果たして彼女のマスターが彼の滅ぼす悪となるのかどうか。 その運命の行方は誰にもわからない。 SABER 「……はぁっ………、はぁ…………っ!」 そこは何時の時代かの、何処かの戦場だった。 いや――――――戦場跡だった。 丘の上で剣に寄りかかり、膝を突く剣士がいる。 高貴なる青の衣と銀の鎧は返り血と己の血に濡れて見るも無残。 痛みと嘆きに歪むその顔を上げれば、その翠緑の瞳には絶望が映る。 「………………………っ………!!」 躯、躯、躯。 おびただしい数の躯。 見渡す限りの大地に鎧が、盾が、槍が、剣が、そしてそれを振るっていたはずの戦士たちの躯が横たわっていた。 これらは―――彼らは皆、王の臣だった。 今、丘の上で崩れ落ちる王に仕え、また王が守ろうとした輩であった。 地は戦士たちの血で赤く染まり、沈んでいく日の光が更にその情景を何処までも赤く紅く赫く染め上げていく。 「……ごめん、なさい………っ」 地獄の如き光景を見渡して、王は絞り出すように呟いた。 その嗚咽は血を吐き出すような苦悩と後悔と自責の念に満ちていた。 「私が……私なんかが…………っ!!」 護るべき民があり、愛した友があり、奉じた国があった。 そして、王の誓いを胸に走り続けた――――――その結末がこれだ。 今や、王の過ちは明らかだった。 王はその正すべき過ちと、最後の責務を胸に刻む。 ―――――――もしも、もしも、この結末を覆す方法があるのなら、私の成すべきことは―――――― そして、雲間から光が差す。 その光は天から下る黄金の梯子にも似ていた。 丘の上で、王は静かに顔を上げた。 そして『彼女』は、遙かな時の彼方から己を誘う声を聞く。 運命の誘う声を、聞く。 かくして役者は出そろった。 騎士王、刹帝殺し、泥人形、英雄王、魔術王、黒き騎手、大淫婦、粛清機。 在らざるものが集い。 在り得ぬものが参じ。 在ってはならぬものが現れる。 これを狂気と呼ばずして何と呼ぶ。 これは狂乱と狂乱が顔を揃える空前絶後の物語である。 これは破滅と破滅が轡を並べる人外魔境の物語である。 これは終焉と終焉が手を取り合う驚天動地の物語である。 これは黙示録である。 今、運命は扉を叩き、終わりが始まる。 Fate/Revelation おまけ もしも本編があったらどうなるの、という場合の為のとても大雑把な役回りの解説とEXランク宝具の相性分析。 当然、サーヴァントは他にも宝具やスキルだのを持っている。 あくまでEXランク宝具を比べた場合での話であり、勝敗や優劣を決定づける者ではないということを念頭に。 なお、この文章は筆者の独自解釈を多分に含んでいます。 セイバー 真名:アルトリア・ペンドラゴン 解説:言わずと知れた我らの騎士王。 例によって例の如く士郎に召喚される予定。当然メインヒロイン。 マスターである士郎と絆を育んだり、イチャイチャするのは原作と同じ。 ただし、戦闘に関してはやはりマスターはへっぽこであるため他のサーヴァントに大きく差をつけられているのが現状。 さっさと士郎の中にある聖剣の鞘を回収しないと大変なことになる。 EXランク宝具・『全て遠き理想郷(アヴァロン)』: 聖剣の鞘。装備しているだけで超回復、真名解放で絶対防御のチート宝具。 その性質上、一撃の威力に秀でる他の真名開放型に対して優位に立てるのが強み。無尽蔵の呪いを吐きだしつづけるライダーの宝具に対しても装備時の超回復で拮抗できる。 ただし、接触も何も無しに問答無用で人間の命を枯渇させていくアサシンの宝具に対しては通用しない。 アーチャー 真名:パラシュラーマ 解説:ヴィシュヌ神第六の化身。カレー師匠。 インド全土のクシャトリアを滅ぼしまくったり、英雄を育てまくったすごい人。 イメージは反骨精神の塊、特攻服のにーちゃん。 凛ちゃんさんという最良のマスターを得たことでその実力は十二分。 大体原作どおりの展開でセイバー陣営と手を組むのだが、そのとき士郎の資質をいち早く見抜いて的確な指導をしたりする。 かっこいい背中を向けて足止めの際、「あいつを倒してしまっても構わんのだろう?」、とのたまっても状況次第で死亡フラグをぶち折ったりできる。すごい漢だ…。 EXランク宝具・『三神よ、永劫へ帰せ(ブラフマーストラ・トリムルティー)』: 三神の力をもつ宝具を融合させて放つ世界を終わらせる一撃、相手は死ぬ。冗談抜きで。 唯一『全て遠き理想郷』のみが対抗できる。それ以外は喰らったら問答無用で即死する理不尽奥義。 ただし使用すると他の宝具も全部失うため、使いどころを選ぶ非常にリスキーな、まさに奥の手。外したら目も当てられないので、使用は計画的に。 ランサー 真名:エルキドゥ 解説:英雄王の唯一無二の朋友。神の手による泥人形。 聖娼の姿を真似たため非常に美しい外見をしている、性別不詳。 今回はバゼットさんをマスターとしている。拠点を定めず、宿なし生活をしているのでフットワークが軽く、ランサーが気配察知で敵を補足するや否や、二人揃ってカチコミを掛けてくる。神出鬼没の引っ掻き回し役ポジション。 あと、英雄王と殺し愛をしたりする。 EXランク宝具・『天命渦巻く混沌の海(ムアリダート・ギムリシュン): 創世槍ティアマトによる生命爆発。濁流にのみこまれたが最後、原初の海に還元されて消えてしまう。人類補完計画かお前は。 生物であるなら何であろうが飲みこむが、当然生物でないものには効かない。したがってバーサーカーには通じない。 また神罰で死んだ経験のあるランサーはバーサーカーの宝具がきっちり刺さるのでそういう意味でも天敵である。 前アーチャー 真名:ギルガメッシュ 解説:説明不要。僕らの英雄王、慢心王、金ぴか。セイバーは我の嫁。 しかし慢心で退場しまくった原作と違い、今回は英雄王の朋友であるランサーの存在に触発されて大ハッスルすることになる。 ルートによってはギルガメッシュ・ネイキッドがラスボスになる……かもしれない。 EXランク宝具・『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』: 乖離剣エアによる空間切断。天と地を切り分ける赤い魔力の奔流がすべてを蹴散らす。 他のサーヴァントのEXランク宝具が幾分ひねくれた性能であるのに対して、「火力で消し飛ばす」というわかりやすい効果。 やっぱり『全て遠き理想郷』には弾かれるが、そうでない限りは全ての敵に平等に通用すると言っていいだろう。 ライダー 真名:マザー・ハーロット 解説:大淫婦。大いなるバビロン。黙示録においてすべての王と民を惑わす存在。 間桐桜の手により召喚された最悪のサーヴァント……なのだが、本人は現世で遊ぶのを優先しており、聖杯戦争には積極的に参戦しない。現在、間桐家を実質的に牛耳り、魅了した人間を連れ込んで酒池肉林に耽っている。 興味のないものは虫けらのように使い捨て、興味のあるものは壊れるまで徹底的に弄ぶ享楽主義者。聖杯戦争の参加者に興味を持ち始めると本格参戦。 ストーリーの展開次第では興味本位で桜を唆して黒桜を爆誕させてしまう。ラスボス候補の一角。 EXランク宝具『黙示録の獣(アポカリプティック・ビースト): 赤き竜よりその権威を与えられ、民を平伏させる七頭十角の獣。 周囲に呪詛を垂れ流して汚染し続けるバイオハザードみたいな宝具。また大地から吸い上げたマナで絶望的な回復力を発揮する。 マスターが黒桜になると呪詛と回復がさらに強化されて手がつけられなくなる。 ただし、回復力以外に特殊な耐性はないのでサーヴァント数体がかりで大火力宝具を叩きこんで木っ端微塵すれば何とかなる。案外『三神よ、永劫へ帰せ』あたりのいいカモかもしれない。 余談だが阿呆みたいに目立つ上に被害が尋常でなく出るため、監督役と土地管理者の胃に深刻なダメージを与えることができる。 キャスター 真名:ソロモン 解説:ダビデの子、イスラエルの王。魔術王とも呼ばれ、魔法の指環で七十二柱の悪魔を使役した。 晩年は国を財政破綻させたりとパッとしない記録が残っているが、民を治めるための知恵を神に求めたりと、良き為政者であったのは確かである。秩序・善だし。 聖杯のなんたるかにいち早く気付くが、『この世全ての悪』を神に跪かせ、神の権威を知らしめるためにあえて聖杯を完成させることを選ぶ。 原作でのキャス子さんと同じく、柳洞寺を拠点にしたり、アサシンを不正召喚したりしている。そのスキルでもって寺どころか山ごと要塞化しているので凄まじい鉄壁ぶりを発揮する。 原作のキャス子さんと同じく、展開次第では搦め手で立ち回り魔術王の恐ろしさを存分に見せてくれる……かもしれない。 EXランク宝具・『神約の指環(リング・オブ・ソロモン)』: 唯一神の命により大天使ミカエルがソロモンに授けたとされる指環。 触れた状態で真名開放すると抗えない強制契約が発生、キャスターは相手に対して令呪ばりの絶対命令権を得る。 神霊クラスでも抗えないので、触れればどのサーヴァントにも効果を発揮する。 そして、触るまでもっていくのが至難の業であることは言うまでもない。 やはり、原作のキャス子さんみたく知恵を絞ってどうチャンスを得るかにすべてがかかっていると言える。 アサシン 真名:ブラックライダー 解説:イナゴ。 主に田畑に生息。かつては貴重なタンパク源として内陸部の農村ではよく食べられていた。 現在では珍味としてイナゴの佃煮などが売られていたりする。 大量発生すると大規模な稲作災害を引き起こす害虫としても知られる。 EXランク宝具・『飢餓の天秤(ブラックライダー)』: 黙示録の第三の騎士が持つ天秤。飢餓による人間の絶対殺害権。 皿の上に載っているレンジ内のすべての人間の命を七等分した七つの銀貨を動かし、生命力を枯渇させる事が出来る。 一日一枚しか動かせないので皆殺しには七日かかるが、逆に言えば七日かかれば人間であるかぎり抗えずに死に至る恐ろしい宝具。 ただし、神性の高い相手(アーチャー、前アーチャー)やそもそも人間でない相手(ランサー、バーサーカー)には通じない。それでもマスターが人間であれば十分致命的ともいえるだろう。 一番危険なのはセイバー。神性を持たないので抵抗できない上、ただでさえ切迫している魔力事情が更にレッドゾーンに追いやられる。 バーサーカー 真名:カルキ 解説:ヴィシュヌ神最後の化身。 マッポーの世を粛清して黄金の世をもたらすとされる。未来戦士、というか機械仕掛けの救世主。 バーサーカーとして召喚され、イリヤスフィールに使役される。基本的に原作のバーサーカーのように分かりやすい脅威として士郎達に立ちふさがったりする。 イリヤにとって絶対に裏切らないナイトであり、忠実なお人形さん。バーサーカーのサーヴァントとしては確かにそうなのだが、それよりも優先すべき英霊カルキとしての役割があり、場合によってはイリヤの意に沿わない事もある。 バーサーカーが生き残っている状態でイリヤを小聖杯としての聖杯降臨の儀式が始まると、イリヤごと『この世全ての悪』を滅ぼそうとするイベントが発生する。イリヤルートとかあったらラスボスかもしれない。 EXランク宝具・『掃星の夜明け(クリタ・ユガ)』: 全ての罪業に対する最終審判宝具、裁きの光。 この光を浴びたものはその罪に応じたダメージを受けるという。英雄のようになんらかの犠牲を持って勇名を成したものに対しては特に強力。まさにインガオホ―。 特にあらゆる悪徳と罪の象徴であるライダーに対しては即死級クリティカル。 ただし、稲作災害の被告人としてイナゴを法廷に立たせるものがいないように、虫の集合体であるアサシンはこの宝具による影響を一切受けない。